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「○○に詳しい人、紹介してほしいんですが…」
「ちょっと、来週時間を空けてほしいんですが…」
「いま、ひま?」

 いきなり用件?だけ。。。こんな「えっ?なんで?」って聞き返したくなるような電話、公私問わずたまにあります。ザックリとも目的を言わずに、いきなり用件だけ伝えてきます。ほとんどの人は、理由を聞けば、取り立てて隠しているわけでもなく、教えてくれます。まぁ、たまに妙な秘密主義で頑なに理由は言わない人もいますが…

 私は目的を伝えてから話す主義ですので、目的を言わずに用件だけ言われると、「目的は何でしょう?」とお伺いするようにしていますから、人によってはキツい人って感じられてしまうようです。が、やはり目的がわからないまま対応しても、すれ違いが生まれてしまう可能性は高くなります。目的から話すのはビジネスシーンでは特に重要だと思っています。

 ここで、『美味しんぼ』第14話「横綱の好物」を例に挙げてみましょう(唐突ですけど)。美味しんぼを知らない方にもわかるよう、第14話のあらすじのうち、当記事に関係あるところだけを説明します。

  1. 主人公山岡が勤める新聞社の社主大原は、大相撲の横綱、若吉葉を擁する高山部屋の後援会の幹事をしている。
  2. 横綱の激励会をすることになり、大原が横綱に何が食べたいかを聞くと「アラが食べたい」と言う。大原は、この「アラ」を魚の種類のアラではなく、魚の身以外の部位などを意味する「アラ」と理解し、山岡に準備を指示する。
  3. 山岡は、とあることから大原の誤解に気づく。至急後援会場に「アラ」を出さないように指示し、急ぎ福岡に向かう。懇意にしている仲買に相談すると、朝、最高級のアラを購入してくれた寿司屋に譲ってもらうよう頼みにいこうということになる。
  4. 山岡は、寿司屋に「アラを譲ってほしい」という。寿司屋も予約が入っているから譲れないという。
  5. 山岡は、寿司屋にグッと鋭いまなざしを向けたものの、諦め帰ろうとした。そのとき、まなざしから真剣さを感じ取った寿司屋が「わかった譲ってやる。だが、理由はなんだ?」と問う。
  6. 山岡は、そこで初めて理由を言う「実は若吉葉の後援会があり、そこでどうしても必要」と。寿司屋は、「おぉ!そうか。オレも横綱のファンだ。連れて行け。」ということになる。
  7. 後援会場に到着した大原社主は、山岡の指示で料理が準備されていないことに気づき焦る。理由もわからない(携帯がない時代だから本人にも確認しようがない)。
  8. そして、山岡たちが福岡から東京の会場に到着する前に、後援会は始まってしまう。大原社主が「もう無理だ。正直に話そう…」と思ったときに、ギリギリ山岡たちがアラをもって到着しました。
  9. 寿司屋は、後援会場でアラを横綱の目の前で捌き、おいしいアラを食べてみんな大満足。

 まぁ、こんな話しです。ここで大切なのは、4~5のところです。寿司屋が雰囲気で感じ取り、いわば男気がある人だったから譲ってもらえましたが、タイミングが悪かったら、大原社主は大恥をかいて、美味しんぼは第14話で山岡がクビになって終わっていたでしょう。

 単純な話しで、4より先に6の「実は若吉葉の後援会があり、そこでどうしても必要」と言えば良かったのです。そうすれば、8みたいにギリギリに到着しないで、大原社主も寿命が縮まないで済んだことでしょう。それだと、14話はまったくつまらんものになったでしょうが。。。

 ただ、実生活の場はドラマではないので、周囲にスリリングなシーンを意図的に与える必要はありません。きちんと寿司屋に話すときに、「実は若吉葉の後援会があり、そこでどうしても必要」という目的を伝えていれば、後援会もスムーズで、大原社主もニッコリで、最高の結末だったわけです。

 私の印象では、電話や会話の目的を最初に伝えない人は意外と多いです。極端な話し、電話の目的が雑談なら雑談と伝えてから話し始めれば良いのに、最後に「いや、今日は大した用はなかったのですが、ちょっと話しを聞いてもらいたくて」と言われると、「それ、早くいってよ~。本題探っちゃったじゃない。」と某名刺管理で有名な会社のCM状態になることもあります。

 ひょっとすると、そういうスタイルの方々は、最初から目的を伝えてしまうと余談を奪ってしまうので、ドライに感じ取られることを避けているのではないでしょうか。ただ、目的を伝えないと、相手から事情を踏まえた対応をしてもらえなくなります。相手の様子をうかがうのではなく、きちんと自分が話したい目的、伝えたい目的を最初に伝えることから会話を始めるほうが、相手も安心して話しを聞けます。そうでなければ、逆に色々と勘ぐって、警戒されることもあります。

 警戒されない方が、お互いにとって良いわけですから、このあたりを意識した話し方は、リアルの場で顔を合わせる機会が減るリモートワーク時代には、より一層大切と言えます。

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