意識調査は「自由記述」だけでよいのか?

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 意識調査をすでにご利用いただいているクライアント先や、これから意識調査をされたい企業様からのご相談に共通する質問のひとつとして、

「意識調査は定量的なもの(5段階で回答するような質問)をなくして、
短文記述(50字程度で記述するようなもの)と
自由記述(長文で書くようなもの)だけではいけないんですかね?」

と聞かれることが多々あります。ご質問される背景は色々ありますが、多くは

  • 定量的な質問は正直に回答しているかわからないが、短文記述や自由記述は正直に書いているかどうかだいだいわかるから、それだけで十分ではないか?
  • 今の時代統計手法も優れていると聞くし、自由記述だけでも実態を捉えた分析ができるんじゃないの?
  • 自由記述だけにすれば予算が下がるのではないか?

といったものが多いと推察しています。

 結論から申し上げますと、定量的な質問(5段階で回答できる質問など)を必ず併用することをお勧めしています。理由は、以下の5つです。

  • 社内の部門間や階層間の全体的な傾向をみるときには、ある仮説をベースに構成された質問と回答選択肢のセットを評点化して、部門間・階層間を比較することは役に立つ。
  • 定量的な質問の得点・分布傾向と自由記述の質の間には、ある種の相関がみられる部門とみられない部門に分かれることがある。これをヒントに回答のウソや職場内の抑圧的な雰囲気が読めたりすることがある。
  • 定量調査と自由記述を併用した意識調査において、自由記述の回答率は10%~50%程度。自由記述回答だけに着目すると声の大きい意見に振り回された実態把握になる可能性が高い。
  • 自由記述だけで回答するよりも、定量質問を何問か回答した後に自由記述の回答をする方が、主旨を踏まえて回答いただけることが多い。
  • 自由記述だけにすると、自由記述の目立った言葉に振り回される人が出現し、本質的な解決につながらない感情的な対策に走る率が高い。定量的な分析を兼ねていると感情的な対策を抑えられる可能性が高い。

 つまり、短文記述や自由記述だけにしてしまうと、問題の本質から大きく乖離した主観的な分析になる可能性が高いということです。もちろん、逆に定量的な質問だけにしてしまうと、具体的にはどういう事例があるのか?この得点の背景は何か?などの具体性が見えなくなってしまい、効果的な打ち手が繰り出せないことがあります。

 定量的な質問・短文記述・自由記述にはそれぞれ長所・短所があります。上手に組み合わせて、できるかぎり精度の高い生データとして取得できるように設計することが大切です。生データの精度が高くなければどんなに優れた統計手法を活用しても誤った分析になってしまいます。ぜひ、概要を捉える手段(定量的質問)、概要を部分的に掘り下げる手段(短文記述)、データの具体性を深めてくれる手段(自由記述)を上手に組み合わせて意識調査をしていただきたく思います。

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