ストレスチェックと意識調査の使い分け

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 当社が意識調査をさせていただいている会社さんは、ストレスチェックと意識調査を別々に実施しています。どう使い分けているかというと。。。

  ストレスチェック 意識調査
目的 法律に基づいて、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施する。その結果、ストレスの程度が高いと認められ、社員本人が希望する場合の面接指導の実施等をすること。 会社全体・各職場の特性や課題を知るため、定量的な質問や定性的な問題に回答してもらう。本音がでやすい匿名調査を基本とし、職場をよりよくするための本質的課題を探ること。
記名 Or 匿名 記名 匿名 Or 実質匿名
質問設計 定型(職業性簡易調査票) オリジナル
質問数 57問 30問~60問
分析方法 ・分析テンプレートに沿った個人のストレス度と職場のストレス度の判定 ・各設問の得点化、各設問の関係性を見ることで、どの設問にかかわる現象が本質的な課題か特定する。
・自由記述に丁寧な文書校正を施し、計量テキスト分析(テキストマイニング)を用い、自由記述も構造化する。
事後対応 ・各社員の面接指導等
・重要課題は、経営課題として取り上げ解決に向ける。
・各職場に分析結果のフィードバックをし、議論する
・重要な課題は、経営課題として取り上げ解決に向ける。
  • 事後対応の箇所はストレスチェックの教科書とはやや異なりますが、当社クライアントの実態をベースに記述しました。
  • 匿名と実質匿名の違いは、Web調査を採用するとして、前者は回答URLも共通で完全に匿名(二重回答が起こりうるが、回答者心理は匿名に近づく)。実質匿名は、回答URLを個々に割り振るが回収データ上は匿名(二重回答は防げるが回答心理として特定されているのでは?と感じる)です。

では、当社のクライアントさんは、ストレスチェックも実施ししているのに、どうして意識調査もやるのでしょうか?その理由は主として以下の6つがあります。

  1. ストレスチェックは記名だが、記名では本音が書きにくいはず。別に匿名調査は絶対に必要。それでも信用してもらうには時間がかかるはず。
  2. ストレスチェックは個人のものと割り切って活用しないと、社員が記名データの活用方法の疑いを持ちかねない。よって、ストレスチェックは個人のもの、意識調査は職場の改善につなげる匿名調査と、明確に分けて実施している。結果は類似しているが、やはり記名データのほうが「やんわり」と評価している傾向にある。
  3. ストレスチェックはメンタルヘルスの調査。意識調査は経営的な課題からの意識を問う調査。明確に性質が異なる。混ぜることが好ましいとは思えない。
  4. ストレスチェックと意識調査は活用方法と担当部署が異なります。
  5. えっ?まとめられるの?まとめられるならまとめたいけどねぇ。。。機密性が違うから、取扱をわけておかないと怖い。
  6. ストレスチェックは単体で実施したほうが事務的に効率が良いのが正直なところです。

6番目は、分かる人にはわかり、4番目については「うーん…」と思いますが(笑)、実施側の意識として共通ポイントは、記名か匿名かというところですね。記名だと、どうしても評点が甘くなりがちです。記名のときの心理として多いのは、

「上司にバレたらどうしよう?」

「名前付きで漏れたら悲劇的だから甘めにつけておこう」

というものです。もちろん、記名でも本音が出てくる状態が好ましいですが、やはり身は守りたいものです。よって、記名の場合は組織の信頼度によって、本質的な状態が見えないどころか、状態を誤って把握する可能性が高まるわけです。

 この裏返しで、匿名調査の自由記述には、以下のようなことが書かれることがありました。

「匿名といわれても信じられないので、本音は書けません。とはいえ、5段階評価の得点の方はがんばって本音で付けました。」

「どうせ、裏で誰が答えたかわかってますよね?この委託会社もグルじゃないんですか?」

2つ目はかなり残念で、事務局でも激怒された方もおられましたが、見方を変えると、まだ期待しているところがあるから、ギリギリのラインの本音を書いているとも言えます。本当に物が言えない会社になっていると、自由記述の記載量が圧倒的に少ないか、ヨイショコメントばかりなってきます。

 こういう話をすると、「記名で答えられないなんて、無責任な意見だ!」「記名で答えられない意見など、扱う必要はない!」とおっしゃる管理職の方もかなりおられます。まぁ言わんとしてることも理解できるけれども、あなたも役員に…(以下略)なんて方もいます(笑)それはともかく、意識調査の本質は実態を捉えることにあり、匿名回答において露骨な意見がでるのであれば、それはそれで、普段鬱積している証左であり、そこでストレスチェックと矛盾があれば、かなり問題があることになりますから、価値は十分にあるのです。

 当社は、意識調査原則匿名・実質匿名のいずれかにこだわって実施していますが、溜まっていたものを吐き出してもらいながら、課題として考えていく過程は大切にしたいと思っています。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • ストレスチェックと意識調査があるのですね。
    会社で実践していた方が効率が良くなりますね。
    とても参考になりました。
    また拝見させていただきます。

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