仕事は楽しくなければならないのか?(ありがとうを集める活動の価値)

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 私がJR東日本に入社したとき、とある先輩に、「仕事は楽しいものじゃない。やるべきものだ。」と言われたことは、いまでも記憶に残っています。これに対して、私はとくに反応しませんでしたが、その先輩は、仕事は楽しいもののはずがないと思っていて、仕事を楽しくすると思うこと自体が頭の中にないようでした。私自身は、大学院時代から様々な方に触れる中で、仕事を本当に楽しくやっている人もいて、仕事を楽しもうとすることは、生きている時間の価値を上げるためにも、かなり重要な思考だと思っています。

 ですが、コンサルタントとして色々な日本企業をみていると、案外、「仕事が楽しいと思ってはいけない」という人の比率が多いことに驚かされます。20代後半のころは、こういう人に直面すると、以下のようなことを聞いたものです。

  • 楽しくないなら、仕事を楽しくするための何かを探ればよいのでは?
  • 目の前の仕事の真の価値が見えていないから、楽しくないのでは?
  • どうやっても楽しくないなら、転職すれば?

当たり前ですが、こんな質問をされて、あぁそうだ!なんて思う人はほぼおらず、「そりゃ正論だろ。できたら苦労しない。」と思われておしまいです。ただ、こういう会社、組織、グループに所属している人の多くは、以下のような声をもっています。

「自分の仕事に価値を感じない」

「自分の価値に自信が持てない」

両方とも、主語が会社ではなく、自分というところがポイントです。たとえば、こんな人がいます。「会社の仕事に価値を感じますか?」と聞かれると、いくらでも話すのに、「自分の仕事に価値を感じますか?」と聞かれると、ほとんど話せなかったり、「誰がやっても同じだよ」という風になってしまいます。

 こんな環境で、会社のビジョン・ミッションに価値を感じて、自ら考えて仕事をする人はたくさん育つのでしょうか?会社にぶら下がる人はたくさん育っても、ビジョン・ミッションに価値を感じて自律的に仕事をする人はほとんど育たないと私は思います。

 一方で、多くの企業は、規模を問わず、「自律的、かつ、忠誠を尽くしてくれる人材」を求めます。ただ、人事担当の中には、社員の自律性を高めるために、こういうことを考える場をつくると、「社員が自分に自信を持ったり、会社にがっかりしたりして、辞めようとするのではないか」という不安にかられる方がいます。結果、業績が良い限り、「当たらず障らず」を決め込むことが多いのです。裏を返すと、業績が悪くなり兆候が見えてから、社員のロイヤリティを高めようとして、会社について考える場を作ったりするのですが、そのときには、手遅れ、つまり、優秀な社員ほど離職が始まっているということも多いのです。

 誰もが自分の価値と会社の価値を感じられる環境を提供する。

そんな会社であれば、(全員とは言いませんが)多くの社員が楽しく働けるのだろうと思います。

 かといって、じゃあどうすれば。。。いきなりコンサルをいれても。。。と思うでしょう。取っ掛かりとして、意外と役立つことを一つ書きます。

「ありがとう」を集める活動

です。「なにを青臭い!」と言われがちですが、感謝されてうれしくない人はいません。ただ、一般的には気恥ずかしさがありますから、記名での投票だったり、茶話会のような場ではあまり集まらないこともあります。ですが、ウェブシステムをつかって、匿名で入力してもらう形であれば、意外と多く集まるものです。それを公開するだけで、自分の仕事に価値を感じる人もいます。この提案をすると、よく質問を受けるのが「褒められない人はかわいそうじゃないか」ということです。私は、「褒められるべき人が褒められないほうがよほどかわいそうだ」と思います。見る人は見ています。簡単ですが、社員を信じて、一度やってみることもよいかと思います。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • はじめまして。ランキングから来ました。私は自分の仕事を楽しいと思ってやっていますが、楽しくないと思う人もいますよね。ありがとうを集める運動は素敵だなと思い、思わずコメントしました。

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