ありがとう運動・ほめる運動に効果はあるのか

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 私が企業の組織風土改革を進めていくにあたって、かなりの確率で話題に上がるのが以下の3つです(実際に実施するかどうかでは、企業によりますが)。

  1. 社内イベントを増やそう(飲み会・社員旅行・社内イベント)
  2. 職場のレイアウトを変えよう
  3. お互いをほめる、たたえるキャンペーンを張ろう(ありがとう運動やほめる運動)

 今回は3つ目のありがとう運動やほめる運動(以下、賞賛活動とします)について書きたいと思います。

 賞賛活動を進めていくと、必ず声として上がるのが「褒められなきゃ、仕事できねーのかよ。。。学生かよ。」「目の前のやるべきことをきちんとやればいいじゃん。」というような、やや斜に構えたご意見です。この言葉自体は、世代に関係なく発せられる印象がありますが、やや背景が異なるように思います。

 年配世代は「仕事は苦しいもの」「業務時間中にほめるなどという甘えたことは不要」といったような、やや厳しい精神論をお持ちの方が多いです。また、ご自身たちが若いころは、いわゆる時間外に上司と話す中で、褒められている。さらにいえば、記憶に残る「褒め」がある人が実に多いのです。つまり、「ほめるというのは時間外にコッソリするから感動をともなうんだ!」という人、かなり多いのです。

 一方、若手世代は「褒めるとか、よくわからない」というような、やや距離を置いている人が多いのも事実です。極端にいえば、どうせ小言を言われるので、できるだけ上司と関わりたくないという人もかなりの比率でおられます。その背景には、「仕事で褒められたことがない」「粗探しばかりされる」というものがあるように思います。先日も、連続して起きたのですが、ある若手社員に「〇〇さん、こういうところがすごいですね、お若いのに」と伝えたら、「褒められたの、どれくらいぶりだろう。。。」と、私が伝えた内容は横において、褒められたこと自体に感じ入っているようでした。

 少し極端ですが、世代でかみ合っていない典型的なパターンを図にすると、以下のようになるでしょう(クリック・タップで拡大)。

 この背景の一つは、育ってきた環境の違い、つまり、典型的な世代間ギャップ(世代相互の無理解)です。ただ、これは世代間だけでなく、出身地域・出身会社・出身国、どんなギャップに対してでも起こります。

 そして、ギャップが生まれると、異なる価値観に対して攻撃的になる方もおられます。自分に自信が持てない人ほど、自分の価値観を正当化して、他者の価値観を否定しようとします。ただ、自信がない人ほど実は褒められたいのです。

 このような社内コミュニケーションの課題を解決するためには、本来は、相互の価値観の背景を知り合うという本質的な対策が必要ですが、人を集めて、ミーティングしてといった風に、大掛かりになることもあり、なかなか理解されないことも多いです。そこで、とっかかりとして、「自分にはない、他者の良いところをほめよう」といったような運動や「ありがとうと思えることを紙に貼って掲示しよう」というような運動は、他者自体や、他者の価値観に目を向けてもらうという意味でかなり有益ですし、なにより、褒められた各自が自分に自信を持つことに繋がり、やり方を間違えなければ、かなり有益なのです。

 なんらかの理由で、やや会社に閉塞感がただよい、打開したいと思うときには、このような賞賛活動を進めることは意味があると思います。企画する方々が問題の背景をある程度精度高く把握したうえで、特徴のある賞賛活動にすると、さらに効果的になるでしょう。

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