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 合意形成とは、ある意思決定すべき課題において、多様な価値観を持つ利害関係者の意見を一致させていくことを言います。合意形成を進めていくプロセスにおいては、その各関係者がもつ意見の本質や意見同士の一致点や対立点を見出しつつ、もっとも納得感の高い落としどころを探っていきます。これは、誰かが最適と考える最適値と一致するとは限りません。あくまで集団において各関係者がある程度妥協をしながら(妥協しないで済む場合もありますが)、生み出される解です。すなわち、合意形成によって導かれた解は、理想的には全員が納得した上で導き出された、全員が責任を持たなければならない解であるとも言えます。

 このような合意形成は、企業内の様々な場面で用いられています。合意形成は、以下の条件さえ揃えば、極めて質の高い解が生み出されると私は考えています。

  • 議論するメンバーの間に高い信頼関係、お互いを尊重する関係がある
  • 声高に意見をいう人、意見を出すのが苦手な人をきちんと制御できる存在がある(お互いが律し合うルールをつくる、第三者が介入するなど)
  • 合意形成の目的が見えている
  • 最終的に誰がどのタイミングで決めるかが明確になっている
  • 導き出された解には、参加者全員が多かれ少なかれ責任をもつ意識がある

私は合意形成をする会議をコーディネートすることも少なくありませんが、上記のような条件がそろえば、自ずと質の高い議論ができます。裏を返せば、本題の議論を始める前に、この5項目をきちんと整える作業を怠れば、極めて空虚な合意形成になることが大半です。空虚な合意形成とは、たとえば

  • 信頼関係が希薄なため、お互いに突っ込んだ意見をいうことを避けようとする
  • よくしゃべるひとがしゃべり、おとなしい人は話さないという傾向がみえてくる
  • 合意形成の目的からそれても、誰も注意しない
  • 最終的に誰が決めるかを明確にしないで進めたがゆえに、最後にもめる
  • 議論のプロセスに参加した意識が低いため、責任をもとうとしない。→決まったことが実行されない

 つい先日まで政権の中心にいた党は、合意形成の下準備が十分にできていない状態の党だったのに、合意形成を重視するという考えを持っていたため崩壊した側面があります。実際、いまだに、元首相のせいにするコメントなど責任感の低い意見を耳にします。

 合意形成を重視することは、おしなべて各自にとってストレスの低い方法だと思いますし、徹底されれば理想的な組織だと思います。しかしながら、上記で掲げたような条件が揃っていなければ、合意形成は、「あなたの意見は聞きましたよ」的なただの意見確認の場になりかねません。

 合意形成型の組織にしていくのであれば、互いの信頼関係をきちんと作っていく場を同時に設けることが重要です。これを怠れば、むしろ逆に「何も決まらない組織」「誰も責任を取らない組織」になってしまうリスクのほうが高いでしょう。

 では、信頼関係を高めていく方法はどのような方法があるのか?次回は、信頼関係を高めていく方法について書きたいと思います。

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