数字に現れない組織の現状を可能なかぎり正確に捉える

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「うちの社員は、会社の方針をよく理解して行動してくれているから、お客さんの満足度も高い。」

 これは、とある社長が自分の主観で話したことです。社長がどういう思いでこういうふうに話したかはわかりませんが、少なくともこの社長は自分の会社について高い評価をしているようです。果たして、これは「組織の現状を正しく」測っているのでしょうか?次に社員に聴いてみます。すると、

「うちの社長は、現場の声をまったく理解していないと思う。だから、あんな現場の声と乖離した方針が出せるんだ。会社の方針通りにやったら、お客さまは買ってくれないから、我々独自の方針で動いています。おそらくほかの現場もそうですよ。

あれ?まったく違います。極端な例ではありますが、社長が見ている部分と社員がみている部分は当然違うわけですから、このようなことはよく起こります。

 人間というのは、よほど精神力が強くない限り、無意識のうちに自分にとって都合の良い情報や自分から手近なを集め、信じる傾向があります。つまり、全員がある一面をみている可能性が高いわけです。この「一面」を全員から集めれば、全体に近い物がみえてくるわけです。

 私は全体を知るために、客観的な調査を使ってもらいたいと考えています。調査は、以下の条件を満たすことが重要です。

  • 組織の何が知りたいか(目的)をハッキリとさせて、独自の質問群を構成する
    • 組織の現状を把握する上で、他社と比較することは、なんの意味も持ちません。人は人、自分は自分です。自社のことを知りうる質問群を構成して、経年的に実施することが重要です。
  • 回答者には、匿名性を保証する
    • 回答者が正確に答えるということは、会社に対して勇気がいる回答である場合もあります。できる限り正直に回答していただくことが目的ですから、回答者の個人情報がわからない形で回答していただくことが大切です。
  • 調査分析結果に対して、経営者は目を背けない。社員に結果を隠さない。
    • 結果が悪いと引き出しにしまってしまうという経営者を何人も見聞きしてきました。いい結果が出るものと思ってやったら、思わぬ結果だったということです。もし、結果に対して向きあう覚悟がないのであれば、調査はするべきではありません。むしろ、社員に対しての不信感を増長させます。
  • 分析の際には、可能なかぎり客観的におこなう。余裕があれば外部者を混ぜる
    • 内部の人間だけで分析をおこなうと、どうしても甘めの分析になりがちです。外部者(専門家でなくてよい、ある意味無責任にズバズバとモノを言える人がベスト)を混ぜて分析すると、結果の質が高まります。
  • 分析結果を活かした対策を打つ
    • 分析結果は、誰の主観でもなく、会社全体の共有事項です。これに基づいて対策を打つことは、少なからず会社全体の一体感を高めます。

 企業の大中小問わず、数字に見えない組織の現状を把握することは大変重要です。上記で示した例は、まさに数字に見えない問題ですが、これは完全に会社の方針が死んでいるという非常に危険な問題です。ただ、現場判断で乗り切っているため、問題が見えていないだけです。つまり、くすぶっているものであり、それはいつか「見える問題」となって数字に現れる可能性を秘めていることを暗示しています。

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