組織風土改革における社内Twitterの適用とその親和性の高さ

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 私は、昨年まで大企業対象に組織風土改革のコンサルタントという立場を合わせもっていました。今でもコンサルティングの依頼があればお引き受けしますが、リアルコミュニケーション(対面対話)だけの組織風土改革には限界を感じていると断言できます。理由はただひとつ。いまの組織風土改革のフレームワークは、大半が、ITインフラの発展を加味していない形で成立しているからです。一方、多くの事業はITインフラの発展をベースに成立しているわけです。ここに大きな矛盾が生じています。ブログの一記事ですから、私の視点をすべてお伝えすることはできませんが、一つの物の考え方としてご参考にしていただければと思います。

 まず、そもそも組織風土改革を成功させる要因を挙げます。これには3つあると考えます。

  • 改革のコンセプト(ありたい姿)を明確にすること
  • 多様な情報の流通量を増やすこと
  • 多様な情報をもとに議論されマッシュアップ(新しい知恵の創出)する環境をつくること

つまり、「各人が物をいえ、やりたいと思うことをやりやすくし、それをもとに、ありたい姿に向けた議論できる環境があり、最終的にはありたい姿に基づいて決めるべき人が決める」という流れを作りきれるかどうかが大きく成否を左右するわけです。最近は、組織風土改革もメジャーになってきましたので、色々とこねくり回されて複雑化している感はありますが、単純にはこういうことだと考えます。当然、企業である以上、コンセプトは業績を上げることも考慮に入れて作られるわけですから、このフローが機能すれば自ずと業績はついてくるわけです。さらには、リーマンショックのような状況が起きても対応力が高い状態になることが期待できます。

 一方、仕事のしかたはここ数年、数十年で大きな変化を見せています。まだITインフラが十分に整っていない時代は、対面ではなければ情報共有がしにくく(一対一は別ですが)、対面での会議も比較的多く行われていました。いまのように携帯電話が発展し、メールが発展し、営業担当がノートPCを持ち歩いて出先でデータ通信をするのが当然になったのは最近のことです。これは社会それ自体の変化として起きているわけですから、すべての行動・事業において、IT環境の変化を考慮しないと成立しえないわけです。たとえば、私の知っている会社の営業部でも、営業マンが帰社しなくても業務ができるようなしくみを作っています。当然、それに合わせて業績目標が立つわけですし、行動ベースも作られます。これと逆行するような動きをすれば、そこに矛盾が生じ、業務量が膨大になるという逆作業が生まれてしまいます。ITを使った業務改革を進めたにもかかわらず仕事量が増えるというのは、この逆行性がたいていの理由です。一言でいえば、「オレが若いころは、~だったから、ウチの部はこうやる。」が逆行性の典型例です。過去から承継すべきは、やり方ではなく、考え方です。やり方は今の社会環境・顧客ニーズに合わせて柔軟に変えていかなくてはならないのです。組織風土改革ないし組織の総合力の発揮という観点でいえば、何でもかんでも対面で集まってものごとを決めようというのは、考え方を引き継いでいるのではなく、やり方を引き継いでいるだけです。

 では、組織風土改革の成功要因とITによる社会変化を共有したところで、社内Twitterの適用が効果的な理由を述べたいと思います(SNSではなくTwitterとした理由は、以前のブログ記事:社内Twitterの可能性をご覧ください。そして、対面コミュニケーションとTwitterコミュニケーションの比較は、以前のブログ記事:経営ビジョン浸透には社内Twitterが活きる!をご参照ください)。Twitter型コミュニケーションの特性は、気軽さ・簡素さ・年齢層の幅広さにあると思っています。この特性を活かすと組織風土改革のエッセンスの2つに対して大きな役割をはたすと考えています。まず、「多様な情報の流通量を増やすこと」に対しての社内Twitter機能の貢献です。流通を増やすためには、気軽さを担保することと、話しても良いという安心感が必要になります。対面(たとえば、オフサイトミーティング)でこれを実践すると、長い議論の末、気軽さが担保できたとしても、それはそのメンバー限りの話であり、他のメンバーは、ゼロからスタートするわけです。人間は影響されやすいもので、気軽に話している人たちに多く触れれば触れるほど、自分も気軽になるものです。社内Twitter上で、気軽に話している光景がみえることで、「多様な情報の流通量を増やすこと」に大きく貢献できる可能性があるわけです。そうすることで、みんな根は気軽とどこかで思いながら対面に臨むわけですから、初対面の対面ミーティングの最初は若干緊張しこそすれ、打ち解けるのはゼロからよりも圧倒的に早いわけです。次に、コンセプト(ありたい姿)の共有化です。経営陣がつぶやくときは、たまにコンセプトを意識したつぶやきもいれていくのです。例示すると、「この商品の改善点として、ウチのコンセプト(圧倒的な使いやすさ)からいうとどこを変えたらいいと思いますか?」といったようなものです。そうすることで、徐々にだとは思いますが、潜在的に理解できるようになり、ありたい姿に対する違和感を減らす効果も生むと考えます。

 このように、Twitter型コミュニケーションは、IT発展による環境変化を考慮した組織風土改革を進めるためには非常に有効なツールだと考えます。社長~新入社員まで、一人ひとりがアカウントを持ち、ちょっとしたことをつぶやく。当然、始めた当初は、堅いつぶやきしか流れてこないと思いますが、上位職の人ほど気軽なつぶやきを増やすように仕掛けをつくり、会話が生まれる、全体が気軽になる、という流れをつくることはさほど難しくないと思っています。また、他の部門の状況も流れているつぶやきから感覚で知ることができるので、部門間の誤解を解消する要因にもなりえます。もちろん、ゴシップライクになるところ、機密漏洩につながるところは、締めるところは締めるという機能・ルールも必要なのは言うまでもありません。機能とルールさえ、十分に議論すれば社内Twitterは極めて効果的に働くと思っています。もちろん、社内Twitterを利用するか否か、利用するにしても利用のしかたは企業それぞれなので、上記はかなり一般化しています。ただ、私の経験からいっても、過去のコンサルティングにおいて、あのときに、社内Twitterがあればこうしたな…というアイデアが相当に思い浮かぶのは確かです。それくらい、組織風土改革(その先に、業績向上)に対して非常に親和性の高いツールだと感じています。

 もし、当記事をお読みくださって、興味をお持ちになりましたら、Twitter上(http://www.twitter.com/corearata)でぜひお声をおかけください。私も当然、視点として抜けている部分はあると思いますから、ご指摘も含めて、ご感想お待ちしております。

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