冨山陽平のブログ “思いきり やりぬく”

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町のお店が大企業の低価格戦略に対抗する方法

2010/06/17 (木)

 今日、ローソンが店内で調理したできたてのお弁当を300円台で提供するサービスを全国展開すると発表いたしました。コンビニ弁当やおにぎりの売上が落ち込む中、コンビニ弁当に抵抗をもっている客層を取り込むための施策だそうです。これは、おそらく以前の「新鮮組」というコンビニでおこなっていたビジネスモデルを踏襲したものでしょう。それもそのはず。新鮮組は、いまやローソンブランドを展開するフランチャイジー企業です。新鮮組ブランドで展開していたときはマイナーの域を抜け切れなかったですが、ローソンブランドで確実に「新時代のコンビニの当たり前」の地位を築く可能性はあります。これに戦々恐々としているのは、持ち帰り弁当店ではないでしょうか?ローソンの近くで営業しているところは特にそうです。さて、このときどのような戦略をとるのがベストでしょうか?絶対にやってはいけないのがむやみに値段を下げることです。

 いわゆる町のお店が、付加価値のある低価格戦略で攻めてくる競合業者が近所にできたがゆえに、苦境に立たされることは珍しくありません。「相手がこの価格なら、うちも下げる!」という店舗は結構多いのですが、背に腹は代えられないからと実施する低価格戦略はたいてい失敗します。低価格戦略には大雑把に分けると次の5種類あると考えています。

  1. 規模の大きさを武器に仕入値を下げることで、売価を下げて販売する
  2. 原価率を引き上げて薄利多売を狙う
  3. 材料の品質を落として、売価を下げる
  4. 賃金を下げて、売価を下げる
  5. 複数のビジネスを結合して、徹底した工夫で値段を下げる

1は町のお店には無縁ですし、2、3、4は絶対にやってはならない下策です。5はしっかりと考えて作り上げれば、大企業の低価格戦略に勝つことは可能だと思います。実際、そういう商店街や弁当屋、美容室を知っています。すなわち、低価格戦略をとるのであれば、「5」なのですが、5の低価格戦略をとるお店や商店街は、実はこれから述べることがきちんとできているのです(5の具体例については今回は記述しません)。

 キーワードは、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。これをビジネスシーンに置き換えると、競合相手や常連客が求めていることが何かを理解した上で、それに応えられる自分たちの強みにしたがって経営すれば、負けることはないということです。当然と思われるかもしれませんが、十二分に意識しておかないと次のようなことが起こります。

「アパレルの小売店を経営していて、もともとは若者向けの洋服だけを販売していた。しかし、近くに大型のショッピングセンターができたために、一気に売上がさがった。そこで、客層を広げるために、中高年向けの洋服も取り扱い、値段も10%ほど下げることにした。」

業界は変えていますが、実際にあった事例です。では、この店舗の経営者が自らの強みを理解していないか、顧客のニーズを理解していないかというとそうではありません。両方とも、経験的に理解しているのですが、いまいち自信が持てずに、目先の売上をあげようと焦ってしまったのです。株が大暴落して焦って投げ売りしてしまうのと状況は似ています。つまり、競合相手を知ろうとする前に焦ってしまったことが敗因であり、焦らないようにするために常々意識しておくことが大切だということなのです。

 では、具体的にはどのような手順で作業を進めるかを書きます。

  • 競合相手が誰で、その相手ができていること・できないことを書き出す
  • 自分たちの常連客は誰で、その方々が自店に求めていることを書き出す
  • 自分たちが強みだと思っていることを書き出す

この3つの作業を必ず別々の時間帯でおこなってください。まとめて進めると全体像が見える前に、部分最適な戦術を立てようという心理が働き、尻切れトンボで終わってしまう可能性が高まります。

 もちろん探すべきことは、「競合相手が満たせない顧客ニーズで自分たちが満たせるもの」です。少なくとも10年は続けたお店であれば、経営者・従業員の頭の中に絶対にあります。それをパズルのピースを集めるように組み立てて言葉にするだけです。とにかく裾野を広げようとせずに、絞った顧客の絞ったニーズを満たすように集中することが大切です。あると信じて、作業してみてください。

カテゴリー: 組織(風土)変革

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