自分の組織の価値観には逆らうべきではない

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 すこし抽象的な話ですが、組織を変革する上で重要なことは、その組織の本質的な価値観は変えないことだと考えています。変革と言っているのに、変えないというのも変な話ですが、変えてはいけないものというのが、組織にはあるように思います。いくつか例をあげます。

 いままで社員同士の互助を重視していた組織(多くの社員が良し悪しは別にして、その風土を認識している)が、突然に個人の成果を重視した組織に変わろうとするとします。だいたいは、業界内の相対的な売上が下がっている場合やグローバル化の名のもとにおこなわれるわけですが、施策当初は社員も、新鮮さに魅力的に感じて、がんばろうとします。本来、個を重視するというのは、誰もが自分主体で仕事をするという意味で(少なくとも私はそう捉えています)、多くの経営者はそれを意図して発信しています。しかし、個を重視するということに慣れていない日本企業は、実務レベルで誤解や誤認が生じ、人事評価や管理職研修にも誤解が生じるケースがあります。その結果、利己的な社員が増えていきます。特に、管理職で利己的な社員が増えてくると職場内に不満が鬱積し、コンプライアンス違反が起きたとしても隠蔽するなど、みえない問題点が一気に増加します。顕在化したときには、時すでに遅しという事態になるケースもあります。実は、うわさ話はヒソヒソ話は多くなされていて、多くの一般社員が知っている場合もあります。ただ、管理職の耳にはほとんど入らない、または、入ったとしても、それを役員に報告することはしないということが起きます。

 品質の安定性と顧客ひとりひとりを創業以来重視していた組織が、突然に、品質のバラつきはやや認めても利益重視、顧客は広く浅く捉えるスタンスに切り替えるとします。この場合、当然職人のオートメーション化や顧客管理のあり方の画一化が進められます。その結果、無駄が多少なりともあっても商品品質・顧客品質を最重要視していた社員たちはやる気をなくし、想定していた以上にミスが増えるというケースです。さらには、マニュアルからの逸脱が罰則の対象になり、その会社が重視していた商品価値観を反映できる社員が会社を去っていく(または、ネガティブな社員になる)という事態が増えます。

 このような大転換についていける企業でなければ、この時代勝ち残れないという論調があるのは知っていますし、私もそう思います。重要なのは、この大転換が、充分に自社の価値観を理解した上でおこなわれているかということです。人間に例えると、外見を気にしすぎて内面を磨かない企業は、この転換がうまくいかないということなのではないかと思っています。もちろん、生き残るために外見(売上・株主価値)を気にしないといけない場面があるのは当然ですが、その影響ばかり受けすぎて、内面を磨く(自社の歴史的価値観を理解し、ズレを把握する)ことを怠っているのではなかろうかと感じます。企業の中でも、競争力の観点からみたら一見弱みに見える価値観もあると思います。しかし、その価値観が絶対的なものであれば、それを強引に変えようとするのではなく、その価値を認めて矛盾を乗り越えることが重要だと思います。

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